FC2ブログ

北村薫□読まずにはいられない――北村薫のエッセイ

20130131

20130131読まずにはいられない

ところで、横溝作品で一つとなったら、わたしの場合はやはり『獄門島』になる。なぜか、いうまでもなかろう。

《見立て》である。童謡、あるいは民謡の見立ては海外にもあり、その無邪気さ(なかなか無邪気ではないものもあるが)と残酷の対比に味があるとされる。〔…〕

『獄門島』の場合は、それを俳句でやったところが、実にそそるのである。


「ヒッチコック.マガジン」ののカーをめぐる座談会で、横溝はいう。当時、掲載誌「宝石」の編集長だった城昌幸が、俳句殺人のくだりでこういった、と。――《作家として嫉妬を感じる》。

編集長としても最上の殺し文句だが、それ以上に、ショートショートの名人、城らしい、実にいい言葉だと思う。

――『獄門島』と映画


□読まずにはいられない――北村薫のエッセイ│北村薫│新潮社│ISBN:9784104066087│2012年12月│評価=△

〈キャッチコピー〉
この面白さをあなたに伝えたい! 胸躍り想いふくらむ初めてのエッセイ集。“本の語り部”北村薫が、熱烈おすすめの古今東西名作ミステリ案内、当代人気作家の魅惑の読みどころ解説、作家になる以前に書かれた文章表現指南のコラムなども収録。

〈ノート〉
上掲の横溝正史「獄門島」について、本書の別のところでも、「横溝正史の常に第一線での60年間に及ぶ作家生活は、日本探偵小説史のひとつの驚異といってよかろう。『獄門島』はその彼の、代表作中の代表作である」(「東西ミステリーベスト100」)と書いて、城昌幸の同じエピソードを紹介している。

当方は明智小五郎派ではなく、金田一耕助派だった。「獄門島」を読んだのは半世紀も前である。これはぜひ再読したい。“読まずにはいられない”。

ところで本書は、北村薫の初めてのエッセイ集とある。えっ、何冊もエッセイ集を読んだ記憶がある。詩歌やミステリのみごとな鑑賞やうんちく話があったのではないか。どうもさまざまな“雑文”を初めて1冊に集めた、ということらしい。

「小説が書かれ読まれるのは、人生がただ一度であることへの抗議からだと思います」で始まるデビュー作『空飛ぶ馬』の著者の言葉など、1978年から2001年までのものを収録。

〈読後の一言〉
作家没後に出る“単行本未収録”本を思わせる。この多才な作家、まさかもう“老後”じゃないでしょうね。


〈キーワード〉
横溝正史 城昌幸 俳句殺人

〈リンク〉
北村薫●自分だけの一冊――北村薫のアンソロジー教室
北村薫●北村薫の創作表現講義――あなたを読む、わたしを書く





スポンサーサイト



コメント

非公開コメント
プロフィール

koberandom

Author:koberandom
平成引用句辞典FC2ブログへようこそ!

最新記事
カテゴリ
平成引用句辞典2011.10.19~
リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR

Pagetop