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星野博美▼島へ免許を取りに行く

20121225

2012.12.25島へ免許を取りに行く

たとえば路上にひし形のマークが出現すると、「まもなく横断歩道あり、歩行者注意。歩行者いません、通過」。〔…〕道路の中央線が黄色に変われば、「追い越し禁止区域、入りました。注意」といった具合。〔…〕

道路は、これから自分が遭遇するちょっと先の未来を、これでもか、これでもかと教えてくれる。心配性な予言者のようだ。

人生もこうだったらずいぶん楽だろうに。


それとも、人生の道路にも実は「徐行」「一方通行」「落石注意」といった様々な警告が出されているのに、自分が気づいていないだけなのか。

ああ……そうなのかもしれない。だからいくつになっても、同じ失敗ばかり繰り返しているのだろう。


▼島へ免許を取りに行く│星野博美│集英社インターナショナル│ISBN:9784797672381│2012年09月│評価=△

〈キャッチコピー〉
愛猫をなくし、人間関係はズタズタ。日常に小さな穴を開けたくなった。40代女子、向かったのは、牧場みたいな自動車学校だった――。
何かができるって、こんなに楽しいんだ。私は車という未知の世界に自分を放り込んだ。多分、免許に救済を求めていたのだと思う。

〈ノート〉
当方、星野博美のファンである。とりわけ『謝々!チャイニーズ』(1996)、『転がる香港に苔は生えない』(2000・第32回大宅壮一ノンフィクション賞)、『愚か者、中国をゆく』(2008)の中国3部作は、三つの異なる料理方法を味わえる絶品である。

本書が出たのを知り、書店を4軒訪れたが、ノンフィクションの棚にもエッセイの棚にもなく、念のため実用書の棚も探したが見つからず、結局ネットで手に入れた。

本書は、車の免許をとるため、長崎県五島列島福江島のある自動車学校での4週間を綴った長編エッセイ(あえてノンフィクションといいたくない)。

周りの人たちを単に「仕事関係者」ではなく「友達」として深く付き合おうとして、逆に関係がこじれてしまう。そして「余計なことをくよくよ考える暇もないほど疲れたい。脳も体も神経もくたくたにしたい」と。ぽっとうかんだ。「車の免許でも取ろうかな」

「歳を重ねるにつれ、お節介な世話焼きおばさん体質のようなものが身に着いてきたらしく」云々と本書にある。それは前著『コンニャク屋漂流記』(2011年・第63回読売文学賞随筆・紀行賞)でもうすうす気づいてはいた。

あの若さまるだしの中国3部作の著者が「おばさん」になってしまっている。しかも、「おばさん」と呼ぶなら喜んでおばさんになろう、とまで書いている。

以下の“旅”論は、著者のノンフィクション“作法”かと思う。

――旅には起承転結のようなものがある、と私は常々思っている。〔…〕まず導入部分があり、最初異文化を目の当たりにした興奮状態で、何もかもが目新しい。じきに文化の衝突が起こり、葛藤を抱えて混乱する。そして旅の終結に向けて葛藤を消化し、総括する段階に入る。これまで、必ずそういうプロセスを経て旅をしてきた。(本書)

ところが、今回は免許取得が目的なので、終わりの日が決められず「心がまるで吊ぶらりん」状態だったと書く。しかしノンフィクション作家であるからには、島での生活を体験記としてまとめようとの思いがあったはずだし、意地悪く見ればなにか山場となるアクシデントを期待していたかもしれず、結局1冊の本となる分量を確保するためにだらだらと書き継いだといえなくもない。

星野博美に成熟した人生は似合わない。謎と危険の未知への旅を続けよ。

〈読後の一言〉

40代女子、癒しの五島列島福江島滞在記。

〈キーワード〉
車の運転 人生の道路 警告 

〈リンク〉
星野博美◎コンニャク屋漂流記

星野博美★転がる香港に苔は生えない



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