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工藤美代子▼それにつけても今朝の骨肉

20120402

2012.04.02おれにつけても今朝の骨肉

父の会社の経営は順調だった。『ベースボール・マガジン』は月刊だったのだが週刊に変えた。変えても売れゆきは一向に衰えなかった。

さらに相撲、プロレス、ボクシング、ゴルフ、陸上競技などの雑誌を次々と創刊した。スポーツ関係の雑誌、書籍の出版社として、ベースボール・マガジン社は完全に基礎を築いた。


編集者上がりの父は、あらゆる雑誌の表紙から見出しまで、すべて自分が目を通さなければ気がすまなかった。〔…〕

したがって、自分の意見に異を唱える社員はどんどんクビにした。


それでも会社が順調に成長していったのは、父がいわゆる編集勘のようなものを持っていたからだろう。



▼それにつけても今朝の骨肉│工藤美代子│筑摩書房│ISBN:9784480814777│2006年02月│評価=◎おすすめ

〈キャッチコピー〉
夢を共有していた時期もあった両親。骨肉の争いをしつつ、支えあう妙な両親。翻弄されながらも愉しんでいるチャッカリ屋の娘。奇妙奇天烈な家族の物語。

〈ノート〉
著者の父は、ベースボール・マガジン社、恒文社を興した池田恒雄。著者の母と離婚し、再婚し、さらに愛人がいる。破天荒な父親を中心に、著者デビューまでの半生を描いた家族の物語。

「あの人が死んだらお赤飯を食べよう」と母は著者に言う。著者も父親に対する鬱積した思いをもっている。しかし本書の筆致はホームドラマのように明るい。

「俺はなあ、知っているんだ。物書きなんざあ、やくざな稼業だよ。親を泣かせ、親族を泣かせるのが物書きだ。おまえ、サトウハチローの『おかあさん』っていう詩を知っているだろう。あんな詩はなあ、そうとうな親不孝をしたもんじゃなきや書けないんだよ。それと同じでな、物書きは嘘も書く、他人が困ることも書く、それでいいんだ」(本書)

「私がノンフィクションを書くようになって、選んだテーマについて漠然と考えてみると、小泉八雲や会津八一、西脇順三郎などは、すべて父が夢中になってその作品や書を集めたゆかり人ばかりだ。さらに堀口大学や山本五十六などを加えると父の出身地である新潟に緑の人物が勢揃いするのがわかる」(あとがき)。

〈キーワード〉
父親 編集者 ベースボール・マガジン社 


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